邪性品解説

邪正品(四箇格言)真言亡国 禅天魔 念仏無間 律国賊

邪正品(じゃせいぼん) 解脱

教説においての正しい仏説と邪説との分別・見極めという重要かつ大変難しいテーマの品です。

正邪を問う事例として、まさしく日蓮上人の四箇格言があり、本解説では参考としています。

  • 四箇格言
日蓮上人が禅宗批判に用いられた有名な言葉で『禅天魔』の根拠とされる「涅槃経」の一説が、この邪正品にあります。
   「若有不順仏所説者、当知是人是魔眷属」
   「仏の所説に随わざる者有らば、当に知るべし、是れ魔の眷属なり」

したがって、涅槃経に関連して、禅宗関係者、日蓮宗関係者にはとても関心のある品です。



複合見出し

品毎の複合見出しは、単体見出し「邪正品」を合成・複合化したもので、機関誌「歓喜世界」シリーズの「涅槃経解説・最後のみ教え【南本】・伊藤真乗」の見出しを軸にして構成します。

見出し構成

最後のみ教え」を構成基幹として、
並びとして現代語訳(現代語完訳・大般涅槃経)に●印を、
昭和新纂(昭和新纂・国訳大蔵経)の注の(漢字番号)を、
新国訳(新国訳大蔵経・大般涅槃経)の[科段の行番号]を
それぞれ付記しています。

邪正品本文 和漢(電子ブック)WEB大蔵経 英中

本文は以下の「トロント大学図書館の電子図書」と「国会図書館ライブラリー」のリンクでご覧になれます。
巻七 邪正品第九

WEB大蔵経 英文 中文

Nirvana Sutra:Appreciation of the "Mahayana Mahaparinirvana Sutra"


目次




邪正品より  (涅槃経解説・最後のみおしえ【南本】・伊藤真乗)

此品は前品において「如何が天魔衆の為に留難を作し、如来波句説を如何が分別して知るや」との迦葉の問いに答えて、仏説摩説をとき、教の正と邪とをを簡択するの章なり。
││├─邪正品九 天魔を知るやの問に答える

1.魔説と仏説の分別

(一)仏説魔説を簡択す。
       ─┬─略して邪正を明かす─┬─問             [9-1]
│││     │           └─答             [9-2]
│││     ├─広く邪正を明かす─┬─問              [9-3]
│││     │          └─答─┬─形乱を答える     [9-4]

2.魔の眷属と菩薩

│││   ├─声乱を答える─┬─仏身を乱す─┬─生を乱す       [9-5]
│││   │        │       ├─行を乱す       [9-6]

3.魔説と仏説の微妙な交錯

│││   │        │       ├─入廟を乱す      [9-7]
│││   │        │       └─納妃を乱す      [9-8]
│││   │        ├─結成を乱す              [9-9]
│││   │        ├─仏徳を乱す              [9-10]
●教団追放罪
│││   │     ├─経律を乱す─┬─経律に就いて乱を作す    [9-11]
│││   │     │       └─常無常に就いて乱を作す   [9-12]
●聖者の美徳に溺れるとは
│││   │     └─罪福を乱す─┬─正を明かす         [9-13]
│││   │             ├─邪を明かす         [9-14]
│││   │             └─正を明かす         [9-15]

4.一切衆生はみな仏性を具有しているが

(二)一切衆生有仏性について論ず。
│││   └─論 義─┬─仏性を論ず─┬─問             [9-16]
│││         │       └─答             [9-17]
(三)過人について論ず。
│││         ├─過 人─┬─問               [9-18]
│││         │     └─答─┬─犯を明かす       [9-19]
│││         │         ├─不犯を明かす      [9-20]
●重罪について
│││         │         └─重ねて犯を明かす    [9-21]
(四)夢覚を論ず。
│││         ├─夢覚を論ず─┬─問             [9-22]
│││         │       └─答             [9-23]
(五)魔説仏説の差別を領解す。
│││         ├─領 解                   [9-24]
│││         └─述 成                   [9-25]




参考


四箇格言(天魔をめぐる禅宗と日蓮宗)

wikipedia「四箇格言」より転載
四箇格言(しかかくげん)は、日蓮宗の宗祖日蓮が他の仏教宗派を批判した言葉で、真言亡国(しんごんぼうこく)、禅天魔(ぜんてんま)、念仏無間(ねんぶつむけん)、律国賊(りつこくぞく)の四つをいう。諌暁八幡抄、御義口伝上等に書かれている。

概要

日蓮は、法華経を一乗とする立場から、法華経に依らない仏教宗派を謗法(誹謗正法の略)だとして批判した。これは法華経以前の釈迦が説いた教えは、全て方便で説かれた物であるから成仏する道ではない、という爾前無得道論(にぜんむとくどうろん)に基づく主張で、それを各宗派の教えの特徴に合わせて批判した物である。

真言亡国 しんごんぼうこく

真言宗では、法華経などの経典は応身の釈迦が説法した物で、大日経は法身の大日如来が説法した物であるとし「大日如来に比べれば釈迦は無明の辺域であり、草履取りにも及ばない」と説いている。法華経にも一念三千の「理」はあるが、印と真言という「事」が無いから、大日経の方が優れている(理同事勝、りどうじしょう)等と主張している。そして真言宗は天台宗の一念三千を密かに盗み取り、自宗の極理としている。

従って本来の主人である釈迦や法華経を卑下し、生国不明の架空の仏で無縁の主である大日如来を立てるから、真言は亡国、亡家、亡人の法で男子が成長しない、という。

禅天魔 ぜんてんま

禅宗は、釈迦が華を拈(ひね)り、大衆の中で大迦葉だけがその意味を悟って破顔微笑(はがんみしょう)した。これを拈華微笑(ねんげみしょう)、以心伝心(いしんでんしん)、見性成仏(けんしょうじょうぶつ)といい、それを以って仏法の未来への附属を大迦葉に与えたとしている。大梵天王問仏決疑経の中に「正法眼蔵・涅槃妙心・実相無相の法門があり、文字を立てず教外に別伝して迦葉に付属する」との経文通りに承伝してきた。

しかし不立文字・教外別伝(ふりゅうもんじ・きょうげべつでん)等と説き、経文を否定している。これは凡夫である自己を過信した仏法を破壊する業(わざ)である。涅槃経では「仏の所説に順ぜざる(したがわない)者あれば、当に知るべし、これ魔の眷属なり」と説いている。また偽経である大梵天王問仏決疑経等の経典を引用するのは「不立文字」と矛盾相違する行為である。従って禅は天魔の所業である、という。

念仏無間 ねんぶつむげん

日蓮は、浄土経典は釈迦説法の中で方便権教(仮の教え)の部類であるとする。その根拠は『法華経』の開経である『無量義経』に「未顕真実[1]」と説かれていること、『妙法蓮華經玄義』や『注無量義經』には、「四十余年未顕真実[2][3]」とあることに基づく。

また阿弥陀如来の因位である法蔵菩薩が立願した48願のうち、第十八願の「設我得仏 十方衆生 至心信楽 欲生我国 乃至十念 若不生者 不取正覚 唯除五逆誹謗正法」という誓文に背き、『法華経』を誹謗しているとし、この事は『法華経』「譬喩品」に「この経を毀謗する者は阿鼻獄(無間地獄)に入る[4]」と説かれている通りであるから、念仏は無間地獄への法であるとする。

また日蓮は、法然が著した『選択本願念仏集』(『選択集』)』の以下の記述について、念仏以外の自力の修行を非難したものとし、「捨」・「閉 」・「閣」・「抛」の字を抜き出して浄土宗批判の標語「捨閉閣抛」(しゃへいかくほう)とした。「捨閉閣抛」とは、「(法然は、)捨て、閉じ、閣(さしお)き、抛(なげう)って(念仏に帰せ)」と説いたとする意である。また『選択集』は、建久9年(1198年)の作であり、日蓮が生れる以前に完成している書である。


律国賊 りつこくぞく

律宗(真言律宗を含む)の教えは、釈迦在世の正法時代の法であり、小乗教の250戒などの戒律を根本の教義としている。日本では像法時代の中頃に、衆生の機根を調理する為に広まった物で、個人主義的色彩が強くこれらの戒律は末法の衆生の機根には合わない物であり、現実から遠離した世間を誑惑させる教えである。この様な戒律を説いて清浄を装う律僧は人を惑わし、国を亡ぼす国賊である、という。 また日蓮は教義面だけではなく、当時律宗の代表的な僧侶とされた叡尊・忍性が社会事業の便宜を図る名目で権力者と癒着し、関米徴収権や木戸銭徴収権を得て経済活動を行っていた事についても厳しく批判した。




邪正品(禅天魔/四箇格言)の内容


メモ



  • 最終更新:2015-05-05 19:00:14

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