四相品解説
四相品(しそうぼん)三密 断肉立制 神通変化 解脱
如来の身・口・意三密を説明して、如来の常住なることを説き、口蜜を説くに四相をあげてある。
断肉立制の文はここにあり、所謂百句解脱の文は、其の後にある。(禁肉・浄肉)
種々の神通変化を示現す。
四相品本文 和漢(電子ブック)WEB大蔵経 英中
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巻四 四相品第七
WEB大蔵経 英文 中文
Nirvana Sutra:Appreciation of the "Mahayana Mahaparinirvana Sutra"
四相品より (涅槃経解説・最後のみおしえ【南本】・伊藤真乗)
仏陀を信ずる者達よ、大般涅槃を説明するに、四相の義がある。
一つには自正、二つには正他、三に能隨問答(なんもんにこたえる)、四には善因縁義である。
◎妙寂を説く四つの理由
├─四相品七(上)
四相のうち自正と正他
此品は如来身口意の三密を開説し、口密に於いて四相を説き、以て品名とす。
(一)口密を開き四相を明かす。初め自正を明かす。
⑹緻密を開く、問に答える─┬─口密を開き般若の徳を明かす
●自己を正すこと
─┬─四相を明かす─┬─一相四相を明かす─┬─標 [7-1]
│││ │ ├─列 [7-2]
│││ │ └─解 釈─┬─自正を明かす [7-3]
●他人を正すこと
(二)第二正他を明かす。
│││ │ ├─他を正す─┬─歓喜を以て他を正す [7-4]
○六味の意味
│││ │ │ ├─無我を以て他を正す [7-5]
○三味の意味
││││ │ │ ├─常楽を以て他を正す [7-6]
││││ │ │ └─第一義を以て他を正す [7-7]
能随問答ということ
●相手に応じて問答すること
(三)第三能隋問答を明かす。
││││ │ ├─能く問に随って答える─┬─正しく能問答を釈す[7-8]
断肉の制定
●肉食禁止令(禁肉・浄肉・精進料理)
(四)以下能隋問答中断肉立制を明かす。
○許された肉
││││ ││└─断肉を唱える(六番の問答)─┬─有る師の釈 [7-9]
││││ ││ ├─大慈の種を断ず [7-10]
││││ ││ ├─三種の浄肉 [7-11]
││││ ││ ├─十種の不浄肉・九種の清浄 [7-12]
○美食とは
││││ ││ ├─美 食 [7-13]
●入滅百年後の仏教(第二結集)
││││ ││ └─尼犍の所見に同じくすべからず・如来の所制[7-14]
破戒と戒律制定
●因縁について解説すること
(五)第四善解因縁義を明かす。
││││ │└─善く因縁を解す─┬─頓に説かざるを明かす [7-15]
●戒律の条文の意義
●随犯制戒
││││ │ └─予め説かざるを明かす [7-16]
●四つの理由のまとめ
(六)四相一相を明かす。初めに四一を明かす。
││││ └─四相一相を明かす [7-17]
執れの見地から涅槃を解することは邪である
◎ブッダは不滅
遠い過去に完成した人--ブッダ
●全世界が一粒の中に入る
(七)涅槃を料簡す。
│││└─涅槃を料簡す─┬─仏の料簡 [7-18]
涅槃法性が常住の仏
(八)常無常の論議を挙ぐ。
│││ ├─迦葉の論義 [7-19]
│││ ├─領 解 [7-20]
│││ └─述 成 [7-21]
世間法的な眼で如来をみてはならない
●ブッダの生涯は方便示現
(九)広く身密を開す。
││├─身密を開き法身の徳を明かす─┬─身密を開く─┬─問 [7-22]
│││ │ └─答 [7-23]
◆神通変化(首楞厳経)
如来の常住を低い見地から思いはかる迷い
●ブッダは人ではない
(十)常住に就いて問答す。
│││ └─論 義─┬─初 番 [7-24]
│││ └─二 番 [7-25]
●寂滅と消燈の違い
◎秘密の教えの公開
四相品七(下)
此品は前品に継ぎ、如来の意密を開説するの章なり。
││└─意密を開き解脱の徳を明かす─┬─密を開くを明かす─┬─密を開く
●ブッダに秘密はない
(十一)意密を開く如来の秘密蔵について論議す。
─┬─問 [7-26]
├─答─┬─七譬(密の三業を斥けて顕の三業を開く) [7-27]
●半字と満字
│││ │ │ ├─長者教子の譬(開密の因縁を釈す) [7-28]
│││ │ │ └─龍王の譬(開密の因縁無きを明かす) [7-29]
│││ │ └─領 解 [7-30]
●対機説法
│││ └─論 義─┬─初 番 [7-31]
│││ └─二 番 [7-32]
●完全寂滅とは解脱である
││└─解脱を明かす─┬─略して解脱を明かす
─┬─略して解脱を明かす─┬─広大を挙げる [7-33]
│││ │ ├─創疣無きを挙げる [7-34]
●ブッダのみが知る境地
│││ │ └─解脱処 [7-35]
│││ └─論 義─┬─瘡疣無き義を論ず [7-36]
│││ └─解脱処を論ず [7-37]
真の解脱は純一にして水が一切を潤すようなもの
◎真実の解脱とはなにか
(十二)広く解脱を明かす。
││├─広く解脱を明かす─┬─問 [7-38]
●呪縛から離れる
│││ └─答─┬─上の瘡疣無き義を広げる [7-39]
│││ ├─上の解脱処の義を広げる [7-40]
│││ ├─上の其の性の広博の義を広げる [7-41]
●不動の心境
│││ ├─更に上の瘡疣無き義を広げる [7-42]
│││ ├─更に上の解脱処の義を広げる [7-43]
│││ └─更に上の瘡疣無き義を広げる [7-44]
正法に帰依するものは譬えと事実を混同してはならぬ
●解脱と虚空は同じか
││└─総じて解脱を結す─┬─総 結 [7-45]
(十三)三帰依に就いて問答す。
││ └─論 義─┬─三帰を問う [7-46]
││ ├─無作楽を問う [7-47]
●犯罪と動機
(十四)不生不滅を問う。
││ └─不生不滅を問う [7-48]
複合見出し
見出し構成
「最後のみ教え」を構成基幹として、
並びとして現代語訳(現代語完訳・大般涅槃経)に◎●○印を、
昭和新纂(昭和新纂・国訳大蔵経)の注の(漢字番号)を、
新国訳(新国訳大蔵経・大般涅槃経)の[科段の行番号]を
それぞれ付記しています。
<参考>
得度受戒での前行での心得ともなりますので、最後のみ教えからちょっと長い引用です。
また、精進料理や肉食・美食について関心の高い方は、電子ブックで本文をご覧になることをお勧めします。お釈迦様のもっと細かいお話や意図が読み取れますよ。
以下は、真如教主さま(伊藤真乗)が美食家ががっかりしないよう、真意を記してくださってます。
断肉の制定(禁肉)=護法の意
迦葉は、そのとき世尊に申すよう
「世尊よ、肉食をしない人には大いなる功徳があると思いますから、私は、肉食者には肉を施さない方がよいと思いますが如何でありましょうか」
世尊は迦葉を誉めて
「善い哉……汝は仏の意(こころ)をよくしっている正法を身に行う護法の教徒はそうでなくてはならない。仏の深法を行ずる弟子達よ、これより声聞の弟子達には肉食を禁ずる。
若し肉を施す者があっても、その肉を見たら、子肉(しにく)に対する想いをなすがよい」
「世尊よ、何故に声聞衆に肉食をおゆるしにならないのですか」
「それは、肉食を好む者は、大慈の心を失うからである。先に三種(不見・不聞・不疑)の例外を許したのは精進に従って次第に制するからである。また十種の不浄肉【人(同類)象・馬(国宝)蛇(似竜)猪・狗(いぬ)・狐(鄙悪いやしむ)猿猴(似人)獅子(獣王)雞の十肉】や九種の浄肉【見・聞・疑・各前後方便と根本と三あるが故に九種となる】を禁ずるのもその修行によって次第に制するからである。
すべての制規(戒)を定めるのは菩提向上せしめる為のものであって、形式よりその精神に教の真髄を徹しさせる為である。
要は・貪りを除いてその心を浄めるためのものであって、仏の示す正法は、外道の禁欲主義と同一であると思ってはならない。
又形式よりその精神を尊ぶということに対して、無反省の者にはよき口実となるもので二重の心をもって“われは仏の正法通りに、その精神を重んじその形式には拘泥しない”
と巧みに偽って内外ともに乱すものもある。
仏の滅後、わが末の弟子にも、かかる邪見の者も出でて、仏の制規を乱し、外にその賢さや善をよそおって、内に貪嫉を燃やして、仏の正法さえあやうくするものも出るであろう。
わたしは本来の面目として、形式よりその精神より出ずる行い(如来法に生きる)を重んずるが故に、末の世のかかる弊害を矯める為に、正法を信奉してゆく弟子に規律(おきて)の厳正を叫ぶのである。
また種々の争いを起し、魚肉、穀類を蓄え世間的な権威者や富豪に親近(ちかずき)し、教法に名を借りて営利な業を起し、金銀財宝を貯え、人間本能的な娯楽にふける、かかる総ての悪業を離れ、内外ともに清浄な生活をしてゆく者が真の仏教徒であり真の仏の弟子である。
故に断肉の制定も、護法の意に外ならないのである。」
(最後のみおしえ での要約)
三種の浄肉
三種(不見・不聞・不疑)見ず、聞かず、疑わざるもの。
即ち一に 我眼その殺すを見ざるもの、
二にわが為に殺せりと聞かざるもの、
三にわが為に殺したるやの疑いなきもの。
精進料理(断肉)と深いかかわりがあります。
涅槃経と首楞厳経(しゅりょうごんぎょう)
善男子よ、是の菩薩摩訶薩は大涅槃に住まれば則ち能く種種・無量の神通変化を示現す。是の故に名づけて大般涅槃と日う。是の菩薩摩訶薩が示現す可き所の、是くの如き無量の神通変化は、一切衆生が能く測量ること無し。汝は今、云何ぞ能く如来が愛欲に習返して羅喉羅を生むと知るや。善男子よ、我れは已に久しく是の大涅槃に住まりて、種種に神通変化を示現す。此の三千大千世界の百億の日月を、百億の閻浮提に於て、種種に示現すること首楞厳経の中に広説するが如し。
(四相品)
メモ
この章句が、苑における霊能・接心・神通変化と涅槃経との繋がりを現わしています。
大辞林 第三版の解説
しゅりょうごんぎょう【首楞厳経】
①
「首楞厳三昧経」の略。二または三巻。鳩摩羅什(くまらじゆう)訳。はやく悟りに至るための三昧として,首楞厳三昧を説く。
②
「大仏頂如来密因修証了義諸菩薩万行首楞厳経」の略。一〇巻。般剌蜜帝訳とされる。禅法を説く。
楞厳三昧経/佛說首楞嚴三昧經(しゅりょうごんざんまいきょう)
uuraGgamasamaadhi-suutra 具名は『首楞厳三昧経(しゅりょうごんざんまいきょう)』
曇無讖訳の『大般涅槃経』巻4にも言及され、また『大智度論』にはしばしば引用される大乗仏教初期の経典。
サンスクリット原典はわずかな断片以外に伝わっておらず、またしばしば漢訳されたが現存するものは鳩摩羅什訳の2巻のみである。
鳩摩羅什(くまらじゅう)訳
(大正大蔵経 No.642)
Skt. Śūraṅgamasamādhi-sūtra
Eng. The Śūraṅgama Samādhi Sutra
(In BDK English Tripiṭaka 13 “THE PRATYUTPANNA SAMADHI SUTRA/ THE SURANGAMA SAMADHI SUTRA”)
『首楞厳経(しゅりょうごんきょう)』ともよばれるこの経典は,禅法の要義を説いたものである。
すなわち,堅意菩薩(けんいぼさつ)が,釈尊に悟りを得るに至るための精神統一の修行法の中で,最もすぐれた三昧はいかなるものであるかを問うたのに対して,首楞厳三昧,すなわち,あらゆる精神統一法の中で,最も堅固であり,しかも他のすべての修行法をも摂し尽している三昧について詳しく説いている経典であり,いかにこの三昧に威力があり,そして,どのような方法によってこの三昧を修するかについて述べている。
思想的には,『華厳経(けごんぎょう)』(15番),『維摩経(ゆいまぎょう)』(27番),『法華経(ほけきょう)』(12番)の先駆をなすもので,その成立は,紀元前後の頃と推定されている。
- 最終更新:2014-10-11 23:01:56